線香の消し方は右手を左手より優先して使う?やってみるとわかる合理的な根拠!
線香の消し方に右手と左手の違いが関わってくる、ということを知っているだろうか?
もう少し詳しく言うと、左手よりも右手を優先して使うことになる。
線香は左手で持ってはダメとも言われるし、消し方をとっても右手のほうで処理することが求められたりするのだ。
ちょっと驚きだ。
でも、よくよく考えてみればそんな決まりに従った方が何かと便利で安全でもある。
実際にどんな線香の消し方が正しいというのか、なぜ両手の間でそんな違いがあるというのだろうか?
右手は神聖で清浄の印、左手は不浄の意味が
線香の消し方を最初に語ってしまうとすれば、
「手に持った線香は右手にもって垂直に立てながら、真下にサッと引き下ろす消し方」
が一番良い方法とされているようだ。
なぜ左手で持ってはいけないかというと、この消し方の理由、仏教の教えそのものと言うよりも、発祥地のインドがカギになる。
ヒンズー教など、インドに土着の宗教では
「右手は神聖、左手は不浄」
とされている。
元々これはインドの習慣から来ているもので、仏教の発祥した時代からどうやら同じようだ。
それが長い時間と仏教の変遷の中で、次第に仏教に取り入れられて言ったようで、いつの間にか線香の消し方にまで入り込んでいる、といえる。
食物は右手で食べ、左手は排泄の処理に使うことが背景に
もともとインドでは食べ物を手づかみで食べる習慣がある。
これが巡り巡って仏教の線香の消し方のみならず、法事や葬式で使う数珠の持ち方にすら影響している、というから驚きだ。
知っている方も多いと思うけれど、数珠を持つのは左手と決められている。
これは神聖な数珠の浄化作用によって、左手の不浄を清める意味があるためだ。
ヒンズー教の教えでは、食べ物をつかむ手は右手と決まっていて、左手はもっぱら排泄の処理に使うなど、両手の間で役割分担が決まっている。
インドのような灼熱の暑さで、衛生環境が悪い国柄になると、ある意味そういう両手の役割をしっかり分けた方が清潔だということがあるだろう。
なまじ両手の間の区別なく、排泄と食事の両方に同じ手を使ったらそれこそ病原菌を体に送り込むようなものだからだ。
だから古い時代に限らず、ヒンズー教の教えが堅固に行き渡っているインドの地方などでは、いまだにこの習慣が残っているといわれている。
間違った線香の消し方は罰が当たる?それよりも安全の上で問題が!
そういうわけで、ちょっとした仏教の作法がそういうインドの生活習慣から来ているものに過ぎない。
だから、
「違う方の手でやってしまったらバチが当たるんじゃないか?」
「間違えると縁起が悪いのでは?」
こんな風に考えてしまう方も中に入るかもしれない。
でもそういう作法の経緯を考えれば、そんなことなどあるわけがないといえるだろう。
だが、実際にやってみて考えれば、確かにそこには合理的な根拠があったりする。
それだけは確かに言えそうだ。
線香は「火の塊」!消し方 は聞き手の右手が安全!
なぜ合理的に考えても右手の方が優先されるのか?
一つには安全だから。
上でご紹介した線香の消し方、つまりその束を真下にスッと下げる消し方も、利き手の右手なら簡単にできる。
逆に利き手でない左手でやろうとすると誰もがまごついてしまうはずだ。
無理にやろうとすると真下に振ることができず、それこそ左右にぶれたりしてしまうかもしれない。
もしくは正確にそうはできないから、というあまり、真横に振る、という人も出てきたりするだろう。
ところがこれは危険なことだ。
何より線香の束というのは火の塊。
火がついていようといまいと基本的に一番安全なやり方を心がけなくてはならない。
だから右手でなく左手で振った結果どうなるか?
真下に振れれば灰は散らない。
お坊さんたちのやり方を見ていればわかると思う。
それが楽に利き手でない方でできれば良いけれど、それ以外の方向に振ると、灰が散る恐れがある。
灰の中にはまだ火がともっていたりする場合もある。
それを畳の上に巻いたりすると大変危険だ。
それ以外にも、左手で線香の束を上手く持てれば良いけれど、ご存じの通り線香というのは強く握れば折れてしまい、軽く握りすぎれば手の中からこぼれて下に落ちることもある。
利き手でない左手で、同じくらいに安全に、そして簡単にできるだろうか?
どう考えても無理なはずだ。
他の線香の消し方も同じ?「左手を固定して右手で扇ぐ」
そんなわけで、線香の消し方について、代表的な「右手で持ちながら消す」方法をお伝えしてみた。
その他、線香立てに立てている線香を消すなどするときに、おすすめな消し方があるけれど、やはり右手を主に使うことになる。
立てている線香に火がついているとき、その火を右手で扇いで消そうとするのはよくあることだ。
このときも手に持つわけではないけれど、左手よりも利き手の右手の方がずっと楽に扇げる。
ただ、それでも手に持ちながら消す方法よりも消えにくいのは確かだ。
そのときには左手を“補助”として使うようにすれば良い。
火のついている線香をくるむようにして左手をかざし、その手のひらの中の風圧を強めるようにするわけだ。
当然だが、このときもくるむのは左手。
扇ぐのは右手になる。
これが一番無理がないはずだ。
ぜひ試していただきたい。
林 信江